山下佳恵詩集『あなたへ』


溜息をつくと


溜息をつくと
幸せが逃げていってしまうよ
逃げていってしまう幸せなんて
ないから大丈夫
そう答えるけど
そう答えてしまった自分に
また溜息をつく

溜息をつけば
少しでも心が軽くなった気持ちでいるけれど
近寄ってきてくれた幸せも一緒に吹き飛ばしてしまうんだね
幸せは目に見えることが出来ないから

疲れがたまってきて
溜息をつきそうになったとき
すこしだけ息をとめて
まわりを見てみよう

すぐそばで あなたが
気がついてくれるのを
待っているのかもしれません
恥ずかしがり屋の幸せが
どこかに隠れているかもしれません

溜息をつくと
幸せが逃げていってしまうよ

溜息ばかりつく私に
いつも娘が言う言葉でした


「 溜息をつくと 」( 了 )

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