山下佳恵詩集『あなたへ』


おんなへん


はじまりは 女から
はじめは母の母胎から
臣がつくこと願っても
生まれるところは選べない

良き時代は早く過ぎ
因るべきところと心決め
帚で毎日掃除する
長年いれば鼻につき
古くなれば嘆くけど
老ともなれば強くなる

喜ぶことは つかの間で
弱い時代も すぐ過ぎて
亡くしたものはなんだろう
心は石のようになり
又 心 は繰り返す

おんなへんの
おんなたち
二つ並べば いいあらそう
三つ寄れば かしましい


※始、姫、姓、娘、姻、婦、嬶、姑、姥、嬉、嫋、妄、妬、怒、奻、姦


「 おんなへん 」( 了 )

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