山下佳恵詩集『あなたへ』


サッカー試合


勝てるはずのない試合だった
力の差は歴然で
それでも
力の限り尽くしていた

ルールはちゃんとわかっているのか
指導者はちゃんといるのかね
オフサイドも知らないのか!
そのボールは あんたのチームのじゃないんだよ
( 相手のチームがこないから持っていただけなのに )
早く投げろ と言ってんだ!

試合中に投げかけられた審判の言葉に
委縮する子どもの心

強いチームの
偉い審判
弱いチームの
押し潰された声

スポーツの心
スポーツ精神って何だろう
そしてそれを指導するってどういうことなんだろう

空では
赤とんぼもサッカー試合
楽しそうに飛びまわる
あの白い雲めがけて
ごぉぉぉぉぉぉるぅ


「 サッカー試合 」( 了 )

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