山下佳恵詩集『あなたへ』


ドロップス


缶を振ると音がする
カラカラカラと音がする
もうなくなったと思っていたのに
カラカラカラと音出して
まだ まだ あるよ と主張する

缶の中から出てきたものは
どれも白い飴ばかり
赤 緑 黄色の飴は
かけらだけしか残らない

甘く
少し癖のある味
子どものときは苦手だった
いつのまにか
なめられるようになった味
この味を味わえるようになったのは
いつからだったのだろう

カラ カラ カラと音がして
忘れ去られた記憶の中で
心に残った白い飴が
まだ まだ あるよ と主張する



「 ドロップス 」( 了 )

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