山下佳恵詩集『あなたへ』


ひとりぼっちのお弁当


仲良しの子とクラスが別れてしまった新学期
最悪だったクラス替え
ひとりぼっちになるのが怖いから
女の子たちはすぐグループを作ってしまう

話しかけるのは苦手だし
なにを話したらいいのかもわからない
輪のなかに入れないうちに
いつのまにか ひとりぼっちになっていた

お弁当を食べる友達もいないだめな子と
思われるのが怖くて
トイレでお弁当を食べようか
楽しいはずの昼休みは最悪な時間
早く時間が過ぎてほしい

前のクラスでも
ひとりで食べていた子がいたな
あの子もこんな思いをしていたのだろうか
あの子の気持ちがいまならわかる気がする

無理して話題をあわせたり
いない人の悪口や噂話ばかりするのは嫌だ
うわべだけのつきあいをするのなら
ひとりのほうが気も楽かな

ひとりぼっちの お弁当は
しょっぱい味がするけれど

ひとりぼっちで
ひとりぼっちで なにが悪い



「ひとりぼっちのお弁当 」( 了 )

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