山下佳恵詩集『あなたへ』


呼ばれなかった誕生会


こそこそ こそこそ ないしょ話
その手に いま隠した紙はなあに?
悪口ばかり言っていた子も
あまり話をしていなかった子も
同じ紙を持っていた
持っていないのは わたしだけ?

仲良しだと
友だちだと思っていた
そう思っていたのは わたしだけなの?

その日が近づいてくると
みんな集まって なにかを話している
輪にはいれないのは わたしだけ

心にはった薄氷が
パリンと割れて胸の奥にささった日
きょうは
あの子の誕生会




「 呼ばれなかった誕生会 」( 了 )

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