山下佳恵詩集『あなたへ』


春の可憐な美人姉妹


まだ春と呼ぶには寒すぎて
枝にぴったり張り付くように咲いていく
厳しい寒さであればあるほど強く香る花
白い雪が花びらを覆い隠すように積もっても
りんとして気高く咲く梅の花

春風がいっきに駆け抜けて
ハート形の花びらが
枝いっぱいに咲き誇る
嵐に見舞われたとしても
美しく儚く咲く桜の花

暖かくなってきた風に
しずくのような花びらが
枝から少しだけ離れて咲いていく
たとえ突然の災いに襲われても
笑顔をたやさず咲く桃の花

梅と桜と桃の花
バラ目 バラ科の
春の可憐な美人姉妹




「 春の可憐な美人姉妹 」( 了 )

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