山下佳恵詩集『あなたへ』


もしも ぼくに


もしも ぼくに まだ
殻があったのなら
人気者だったかな
カタツムリのように

もしも ぼくの 体が
きれいな色彩だったのなら
人気者だったかな
ウミウシのように

殻をもたず
    悠々自適
色も地味で
    神出鬼没

ただ
自分の通ってきた道は
しっかり示して

でも
悲しいかな
塩をかけられてしまうのは




「 もしも ぼくに 」( 了 )

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