今日もカラスはやってきて
2階のガラス窓をたたく
カツン
カツン
クチバシから窓に体当たりする
カラスが窓に飛んでくると
家のなかのカラスも
大きく翼をひろげて待っている
同じように顔を近づけてきて
ここから出してと言っている
そんな家のなかのカラスが
いじらしくて 愛おしい
二羽の仲を引き裂くガラス窓
なんど窓をたたいても
びくともしない
たまらないほど せつなくて
たまらないほど やるせない
地面は散らばった赤い血と黒い羽を
やさしく受け止める
今日もカラスは窓をたたく
カラスが恋してしまったのは
ガラスにうつった自分自身