山下佳恵詩集『あなたへ』


ゴミ袋に捨てられた愛


朝の光がさして
人々が学校に職場に急ぐ時間
人目をさけるように彼女はいた

出されたばかりのゴミ袋
中に捨てられた大切な宝物を
必死に人目を気にしながら捜している

そこまでしても捨てられない大切な物
それをゴミとして出した彼

捨てられたものはその愛ごと忘れたらいい
そのまま焼却炉にいって燃えて
空に昇るがいい

空に昇っていやされて
そしていつかまた新しい愛がうまれる
悲しくて寂しいのは今だけ

時間は必ず思い出に変えてくれるから
ゴミ袋に捨てられた愛は拾ってはいけない


「 ゴミ袋に捨てられた愛 」( 了 )

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